解読

たとえば、科学は人間の身体や心の動きを図や画像、数式によって捉えようとするが、それは生物の一側面に過ぎない。
生物は本来、仲間や他の生物の動きを様々な感覚を用いて直観的に予測し反応している。
そこに情報には還元できない認識力や生物どうしの関係が存在する。

中沢新一は、言葉や自然科学など、事物を分類して整理する「ロゴスの論理」に対し、事物を独立したものとして取り出さず、
関係の網の目の中の作用として認識する「レンマの論理」が、人間に新しい世界観をもたらすかもしれないと述べている。

レンマの思想は、大正から昭和初期に発展した「西田哲学」や、今西錦司の自然学にも反映されている。
現代の科学は時間を空間的に理解しようとするが、生物はその二つ(時間を空間)を同時に直観的に認識する。
それが生命の流れを感じることだと西田幾多郎は言う。
今西はこの世界の構造も機能も一つのものから分化したものであるから、生物は互いに理解しあい共存する能力を持っていると言う。
その生命の認識や相互作用、生物どうしが織りなす全体像を、現代の科学技術はつかむことができない。

京大学長の「科学季評」

「時間」・「空間」というのは、大学時代の中の「学習」・「学生生活」の事じゃない