2019-12-05から1日間の記事一覧

中村哲医師の残したもの 4

中村一つは敵の敵に対する親近感です。日露戦争や太平洋戦争など、欧米と干戈を交えた(戦争した)のはアジアの中で日本だけだった。彼らはイギリスの支配に随分苦しめられた時代があって、日本という国に親近感を抱くようになった。日露戦争もそうです。ア…

中村哲医師の残したもの 3

皆様、御苦労さまです。中村と申します。 もう現地に行きまして約十七年半になりますが、私、実は国内で何が起きているのかよくわかりませんで、失礼ですけれども。ただ、向こうから戻りまして、余りに現実を踏まえない図式に基づいた議論だけが先行、失礼な…

中村哲医師の残したもの 2

○参考人(中村哲君) 中村です。ペシャワール会現地代表として発言を許していただきたいと思います。私は、実はおとといまでジャララバード北部にあります干ばつ地帯の作業現場で土木作業をやっておりました。なぜそうなのか。今日の議題と一見関係ないよう…

中村哲医師の残したもの 1

アフガニスタン東部のガンベリ砂漠は今、平和な静寂が支配している。かつて荒涼たる水無し地獄だった原野は、深い森が覆い、遠くで人里の音-子供たちが群れ、牛が鳴き、羊飼いたちの声が、樹々(きぎ)を渡る風の音や鳥のさえずりに和して聞こえる。 この一…