立命館大法科大学院松宮孝明教授の解説

(政府は)法律の解釈を間違っている。
日本学術会議法では会員の選び方について、学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命すると書いてある。
推薦に基づかない任命はない代わりに、基づく以上は「任命しない」もないのだ。
 どのような基準で推薦しているかというと、結局その分野の学問的な業績、そして学者として力があるということを見て決める。
これも日本学術会議法17条に書いてある。
推薦に対して「不適格だ」というなら、それは研究者としての業績がおかしいと言わなければ駄目だ。
ところが、その専門家ではない内閣総理大臣に、そのようなことを判断できる能力はない。
任命をしないのならその理由を問われるが、総理には答えることができないだろう。

ほとんど同じ構造をもっている条文が憲法6条1項にある。
天皇の国事行為だ。
天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する」とある。
日本学術会議法では「学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」。
同じ構造だ。
ということは官房長官の言い方だと、国会が指名した人物について天皇が「この者は駄目だから任命しない」と言えることになる。
つまり任命権があることを、「任命が拒否できる権限もある」というふうに思うのは間違いなのだ。

#日本学術会議への人事介入に抗議する