相澤冬樹 徒然草より

赤木俊夫さんを死に追い込んだ理由について、何度となく繰り返された“誤解の波”が最近またも広がっている。
今月(2021年11月)人事院から俊夫さんの公務災害認定をめぐる文書が開示されたのがきっかけだ。
そこに「改ざん」の文字がなく、国会やマスコミ対応が過重だったとされているから、責任を野党やマスコミにすり替える論調がSNS上などに見られる。
産経新聞は11月20日付の一面コラム産経抄で次のように書いた。

産経新聞11月20日産経抄

 『あの狂熱的な批判と追及の嵐はどこへ去ったのか。
森友学園に関する財務省の決裁文書改竄(かいざん)をめぐり、新たな文書が開示されるたびに、マスコミや野党が、「主犯」扱いをしていた安倍晋三元首相への言及が消えていく注)

 
だが、そうだろうか?
それなのに人事院の文書にはなぜ書かれていないのか? 人事院財務省の文書を元にしている。
財務省は、雅子さんが公務災害を申し立てた際の文書を使っている。
申し立ては俊夫さんが亡くなった翌月で、すべては当時の代理人の弁護士(今は違う)が請け負っていた。
近畿財務局に勤めていた経歴があり財務局の紹介で代理人になった。
この弁護士は、財務局が作った下書きに合わせて申立書を書いたと認めている。
役所のお手盛りで話を進めたから役所に不都合なことは書かれていない。
つまり、改ざんを苦にして亡くなったとは一言も書かれていない。

申し立ての時点で雅子さんが俊夫さんの遺書を見せていたのはこの弁護士だけだ。
弁護士は改ざんを告発する遺書を知りながら財務局の筋書き通りに申立書を作った。
「一刻も早く公務災害を認定してもらうため」と理由を語っていたが、それだけだろうか? 
雅子さんはこの弁護士に不信感を抱き、弁護士をかえて今の弁護団を選び、国と佐川氏を相手に裁判を起こした。

注)産経抄は現在皿木喜久論説委員長ら3人の論説委員が交代で執筆 全く匿名という産経新聞社の方針は言論人としての品格を疑う