会食に出なくても

 「信じていただけないなら、そもそも予算委の質疑が成立しない」
前夜祭の会場だったホテル側に書面で回答を求めるよう迫られた首相がこう答弁するのを聞き、
木皿泉さん脚本のテレビドラマ「野ブタ。をプロデュース」のあるシーンを思い出した。
酔っぱらいを殴ったと誤解され、警官に「信じてください」と言っても「みんなそう言うのよ」
と取り合ってもらえない主人公に、コワモテの町内会長が説く。
「世の中っちゅうもんはな、ホンマかどうかなんてどうでもええんや。
信じてもらえる男か、信じてもらえへん男か、そのどっちかや」
それよりもなあ兄ちゃん――。説諭は続く。
どん底に落ちても人生終わりとちゃうど。落ちても人生続くど。人生はなかなか終わってくれんど」
そうなのだ。
「盛者必衰の理(ことわり)」は理解しているつもりでも、必衰した後も人生は続くことを、私たちは忘れがちだ。
信じてもらえない人間として咲き続けるのか。
信じてもらえる人間として散るのか。
首相、人生の見積書へのサインを、どうぞ。
高橋純編集委員

曽我氏、総理との会食にでなくても、このように結構取材を生かした記事は書けるんだね。
あなたも記事に気骨を入れるようにぜひ参考にしよう!