安倍首相が消費税増税後の事を語らない本当の理由

安倍氏は開会初日の施政方針演説で、例によって“アベノミクス”を自画自賛
「日本経済はこの7年間で13%成長し、来年度予算の税収は過去最高となりました」
「公債発行は8年連続での減額であります」などと胸を張った。

 

ウソである。
 過去最高云々は事前の、それも賞味期限切れの見通しだった。
すでに来年度の以前に今年度の補正予算案が下方修正され、税収も前年度割れが必定になっている。
増収傾向にあるのは確かでも、近年の税収は、
税率の引き下げや租税特別措置の乱発で大幅に減少した法人税収を
消費税の増収で賄う形で推移しており、
来年度は後者が所得税を抜いて最大の税目となる見込みだ。
つまり、経済政策が成功した果実などではまったくない。

 

消費税とは小さな商売を、
すなわち生業(なりわい)を潰すための税制だ。
効率が悪い、生産性が低いと見なされる事業が一掃され、
国民生活が巨大資本の論理とヒエラルキーの下に統合・統制されていくことを政府は望んでいる。
抵抗する者が生きていける余地は極端に狭い。
そして、その「ビジョン」は着実に実現しつつある。
 中小零細事業の倒産や転廃業の増加は、社会的弱者の不幸は、
つまり、政府にとっては成功なのだ。
だからこそ、安倍首相は施政方針演説で消費税増税の成否を語ることができない。

斎藤貴男 ジャーナリスト